
「授業についていけない」
→まずは、勉強をサボっているのか、
それとも頑張っているければ結果がついてこないのか
を確認する必要があります。
そして、サボっていない、
すなわち頑張っているのであれば
何が学びにくさの原因になっているのかを
確認した上で対策を講じなければ、本人が苦労するだけで
いっこうに勉強ができるようにはならないでしょう。
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「学校の授業についていけない」とか
「勉強に関することが全く定着していない」
という事実の原因には、さまざまな理由が考えられます。
また、文部科学省が提唱している「学習障害」の疑いの項目から
確認していくこともできます。
文部科学省の定義は、具体的に言うと下記になります。
「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、
聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち
特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、
視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や、
環境的な要因が直接の原因となるものではない。」
ここで、注意をしなければいけないのは、
文部科学省が提示しているこの項目に、例えお子さんが当てはまったとしても
それが即、「その子が学習障がいである」という事実には行き当たらないということです。
そもそも「学習障がい」はアメリカの精神医学会が作成した
診断マニュアル(DSM-5)によって医師のみが診断できるものです。
心理士や学校の先生、親御さんが診断することはできないのです。
しかし、効果的な学習を進めていく中で
「聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する」能力が必要不可欠
という事実には、大きく賛成です。
したがって、授業についていけていないと事実がある際は、
・聞くことが苦手なのか
・話すことが苦手なのか
・読むことが苦手なのか
・書くことが苦手なのか
・計算することが苦手なのか
・推論することが苦手なのか
を考える必要があります。
その上で
・トレーニングが可能なのか
・トレーニングではなかなか解決できないのか
を判断します。
例えば、「聞く」ことが苦手な子について、実生活の中で考えられる困難は、
・先生や親の指示を聞くことができない
・授業についていけない
・お友だちと上手に遊べない
ということになります。
聴力がある、すなわち難聴でなくても「聞けない」とは
一体、どういうことなのでしょうか。
その「聞く」という行為は、他の認知機能と合さって
その次の行動につながるのです。
具体的には、
・単語の意味が分からないと聞いても理解できない
・指示代名詞(これ、それ、あれなど)が分からないので、文全体が把握できない
・集中力がなく、話をちゃんと聞いていない
・聴覚の選択的注意を向けるのが苦手
・実は聞いて理解もしているのだが、すぐに忘れてしまう(短期記憶が低い)
・現在の「場」を理解できていないので、指示などを聞いても行動がズレる
という「聞く」以外のことが「聞く」行為につながるのです。
では、上記の項目が困難かどうかをどうやって判断するのでしょうか。
一部は、WISC-㈿検査で分かるのです。
なお、WISC-㈿検査は、発達障がいを診断する検査ではありません。
その子は、何ができて、何ができないのかをWISC-㈿で確認するのです。
・「単語の意味の理解力」はWISC-㈿検査で分かります。
その子の年齢レベルの単語力があるのかどうかをWISC-㈿検査で測るのです。
・「指示代名詞の理解力」があるのかどうかもWISC-㈿検査で分かります。
正確には、「言葉の抽象的な概念」を把握できているのかをWISC-㈿検査で測るのです。
・「集中力」があるのかどうかもWISC-㈿検査で分かります。
そもそも「集中力」って、どのくらい持続できるのでしょうか。
皆さんは、ご存知ですか。
集中力の持続時間ですが、実は小学校低学年だと15分なのです。
15分で集中力が切れるのです。
したがって、小学校の授業においては生徒が15分で飽きないように
工夫が必要なのです。
簡単に言うと、「聞く、読む、書く、考える」というサイクルを
長くても15分で回すのです。
大人であれば、「聞きながら書く」ということもできるかもしれません。
それでも、電話の最中、電話番号や電話に出た人のお名前など
聞きながら書いた際、間違えて書いていた、という経験がある方もいるはずです。
そうです。
「聞きながら書く」という同時処理(同時に2つのことを行うこと)は
大人でも実は困難なのです。
小学生であれば、できなくて当たり前なのです。
さて、「集中力」に話を戻します。
小学校低学年の「集中力」は15分程度だとお伝えしました。
では、小学校高学年の「集中力」はどのくらいなのでしょうか。
そうです。
小学校高学年の集中力は、最長で30分です。
しかし、15分単位で集中力が切れる「波」がきます。
その「波」をどう乗り切るか、
それが、15分以降も集中し続ける「コツ」になるのです。
では、中学生や高校生はどのくらい集中力が続くのでしょうか。
それは、最長で45分です。
中学生や高校生も実は15分単位で「集中力が切れる波」はきます。
テレビを見ていている「15分」単位にコマーシャルが入ると思います
なぜ、コマーシャルが入るか、もうお分かりですよね。
「集中力」が切れてしまうからなんですね。
では、大人では最長でどのくらい「集中力」が続くのでしょうか。
実は、大人でも「集中力」は90分しか続かないのです。
そして、その大人でも15分単位で「集中力」が切れる波がやってくるのです。
中高生や大人であれば、集中力が切れる、そう思った瞬間に
「何か別のアクション」で集中力を切らさない方法をとって欲しいものです。
例えば、複数教科の勉強をしているのであれば、
「教科を変える」とか
「読むことから書くことに変える」
といった感じでしょう。
さて、この集中力の時間は、特別なトレーニングをしていない、普通の大人の場合です。
したがって、F1レーサーとはパイロットなどの「集中力」はもっともっと続きます。
さて、この「集中力」ですが、
発達心理サポートセンターでは、「長さ」と「深さ」に分解できると考えております。
長さとは、そのまま「集中できる時間の長さ」ということになります。
では、深さとは何なのか。
深さとは「過集中できるかどうか」ということになります。
簡単にいってしまうと
「浅めの集中力で1時間」業務を行うのか
または、「過集中」で15分で同じ業務を終えてしまえるのか
ということになります。
「過集中」はスポーツの世界でいう「ゾーン」みたいなもの
だと考えても良いでしょう。
スポーツなどで選手が「ゾーン」に入ると
仮に時速150キロのボールであったとしても「スロー」に見える
というものです。
我々は、特にトレーニングをしていない一般人になるので
スポーツ選手ほどの「ゾーン」には、なかなか入れないと思います。
しかし、トレーニングで近付くことはできるのです。
したがって、もし、お子さんの集中力が原因で勉強が定着していないのであれば
集中力を鍛えるトレーニングをすれば良いのです。
そのトレーニングは、発達心理サポートセンターでも行っています。
ご希望の方は、体験ができるのでご連絡下さい。
さて、ここまでは「聞く」についてのお話をしてきました。
このように「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」についても
同じように細かく考察することができます。
ご希望の方は、まずはご連絡を下さい。
その上で、お子さんの状況を確認していきましょう。