メッセージ

「忘れ物が多い」

→何度、叱っても「忘れ物」をしてしまう、
 そんな時、ただ「叱っても無駄」なのです。

 まずは、何が原因で「忘れ物」をしてしまうのかを
 考えなければなりません。
 
 原因が分かれば対応方法を考えることができます。

 叱って、怒って「忘れ物くせ」が治るのであれば
 そんな簡単なことはないのです。

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幼稚園や小学校、中学校でいつも忘れ物ばかりしてしまう、
忘れ物をして、先生や親に叱られるのに一向に改善しない。

こういったことは、どの学校でも家庭でもあることでしょう。
怒られるのが分かっていながら、なぜ、前もって準備をしたり、
忘れ物がないようにしたりしないのでしょうか。

そのためには、下記のことを調べる必要があります。
・短期記憶があるのか
・長期記憶があるのか
・抽象的な言語概念の把握力があるのか
・一般常識力があるのか
・先への見通しを立てる力があるのか
・忘れ物をして、本当に困っているのか
・怒られることが、本当に嫌だと思っているのか

その上で、その子どもへの対策方法が変わります。

例えば、「短期記憶が低い」のであれば、
・持ち物は何なのか、忘れてしまう
・怒られたことを忘れてしまう
・忘れ物をして、自分が困ったという事実を忘れてしまう
ということが考えられます。

また、「持ち物は何なのか、忘れてしまう」のであれば、
・忘れないようにする
・忘れても思い出せるようにする
としなければなりません。

「忘れないようにする」ためにメモはよく使われますが、
そもそもメモを取らせるだけでは不十分です。

メモだけではなく、本人の特性を鑑みた上での対策を立てる必要があるのです。
詳細を聞きたい方は、まずはご連絡を下さい。

カウンセリングなどでお伝えいたします。

さて、ここまで「短期記憶」について書いてきました。
ここから「長期記憶」について記載していきます。

人は「忘れる」生き物です。
では、なぜ「忘れる」のでしょうか。

誰しも一度は、一瞬で何でも記憶できる人を「羨ましい」と
感じたことはあるはずです。

しかし、「人間は忘れる」という行為を行わないと
実は生きていくことさえも「困難」になるのです。

なぜ、生きていくことさえもが「困難」になるのでしょうか。
それは、2つの要素から考えていくことができます。

まずは、「記憶の容量」です。

人は生活している中で、感覚器官を通じてさまざまな情報を受け取ります。
朝起きて、目で見たもの、耳で聞いた音、鼻でかいだにおい、など
さまざまな情報を受け取るのです。

そして、無意識的に必要な情報とそうでない情報を取捨しています。
必要でないとみなされた情報は、その時点で捨てられるのです。

記憶を捨てるとは、「忘れる」ということです。

しかし、「忘れる」ということをしないで全て記憶していくのであれば、
すぐに「記憶の容量」はいっぱいになってしまうでしょう。

「脳」の働きに関しては、まだまだ未解明のことも多いです。
したがって、「記憶の容量」もどこまで入るのかは不透明です。

しかし、パソコンで考えてみて下さい。
Delete(削除)することなく、全てのデータを保存していったら、
すぐにパソコンの要領はいっぱいになりませんか。

その保存するパソコンのデータは、WordやExcelではありません。

人間の日常生活なので、当然、「動画」ですよね。
それも、ただの「動画」ではなく、「3D」で「におい」や「味」、「触った感覚」など
全ての情報が保存されるわけです。

そう考えると、すぐに「記憶の容量」はいっぱいになると思いませんか。

また、仮に「記憶の容量」がいっぱいにならなかったとしても
「記憶」を引き出すことが困難になります。

脳科学上での記憶の考え方と心理学上での記憶の考え方は
大きくの異なるのですが、

「記憶」というものは「記銘」と「想起」に分かれます。

「記銘」というのは、「記憶する」という行為です。
「想起」は、その記憶した内容を「思い出す」行為です。

年をとって「記憶力が悪くなった」と言う方を多数みます。
しかし、実は「記憶力」は悪くなっていないのです。

例えば、人は、記憶した内容を脳の中の「記憶のたんす」にしまいます。

たくさんの情報を記憶する。ということは、その「記憶のたんす」が
たくさんできます。

いざ、その記憶を呼び起こそうと思っても
「記憶をしまったたんす」が見つからないのです。

この状態を「思い出せない」というのです。

そうです。
思い出したいその記憶を
どこにしまったのかが分からなくなってしまった
という状態になるのです。

では、「若い時は思い出せたのに」というのはどういうことなのでしょうか。

記憶の性質上、人の「顔」や「名前」はもっとも覚えにくいものの一つです。
その「名前」を例にとりましょう。

単純な例を挙げます。

例えば、10歳の子どもがいるとします。
その子どもは、1000人の人と会い、顔と名前を覚えました。

一方、80歳のお年寄りは1万人の人と会い、
顔を名前を覚えたのです。

記憶のたんすは、どうなるでしょうか。

10人の顔と名前であれば、たんす1つで十分でしょう。
しかし、1000人の顔と名前であれば、たんす100個は必要そうです。

たんす100個、そして1000の引き出しを
1つ1つ開けて、どこに思い出したい「記憶」があるのか
確認しなければなりません。

その作業に時間がかかればかかるほど、「思い出せない」ということになるのです。

また、たんすの数が多いだけでなく
記憶のたんすは「頻繁に思い出す記憶」であれば
見つけやすい場所にあり、開けやすい状態になっています。

しかし、なかなか開けないたんすであれば、当然、奥のほうにしまいませんか。
だから、思い出せないのです。

また、たんすの場所が分からないだけではなく、
たんすの上の方に「大事な記憶」、すなわち「重いもの」がしまわれると
下の引き出しは、上の重みに圧されて開けにくくなりませんか。

これが、覚えたことを思い出せない、「想起」できない
理由なのです。

年をとって、「記憶力が低下」したわけではないのです。

さて、お子さんの記憶力はどうなんでしょうか。
気になる方は、WISC-㈿検査でお子さんの記憶に関して調べることができます。

まずは、ご連絡下さい。

さて、冒頭の問題である「忘れ物が多い」の原因は、
下記のことを調べる必要があると記載しました。

・短期記憶があるのか
・長期記憶があるのか
・抽象的な言語概念の把握力があるのか
・一般常識力があるのか
・先への見通しを立てる力があるのか
・忘れ物をして、本当に困っているのか
・怒られることが、本当に嫌だと思っているのか

記憶以外に項目もWISC-㈿検査で調べることができます。

ご興味がある方は、ご連絡下さい。

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