
「時間が守れない」
→なぜ、「時間が守れない」のか。
「いつも学校に遅刻してしまう」
怒っても直らないという場合、何か対策を立てなければなりません。
まずは、その子の認識がどうなっているのかを
確認していく必要があります。
そして、その認識をトレーニングで改善、
もしくは、軌道修正していくのです。
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・すぐに出かけると言っているのに、なかなか行動を移さない
・テレビやゲームは「1時間」と決めているのに全く守らない
・もう寝ないといけない時間なのにダラダラ過ごして、一向に寝る気配がない
・学校に行く時間になっているのにそれが理解できない
・5分と言ってもその5分が延々とこない
このように時間に関わる相談は非常に多いものです。
そもそも時間というものは、認知発達上、
健常児さんでも小学2年生くらいまではなかなか認識できないのです。
発達に課題がある子であれば、なかなか認識できないのはなおさらです。
認知発達上、時間の流れや物事の起承転結などは、小学2年生以降に養われるのです。
小学校で「時計」について学ぶのは、小学2年生です。
早い子は幼稚園で「アナログ時計」を読むことができる子もいます。
しかし、その子は「ただ、時計が読めている」だけなのです。
時間の概念の把握は、もっと別のところにあるのです。
過去、こんなことがありました。
家族旅行に行くため、家族4人(パパ、ママ、小学校1年生の子ども、幼稚園生の子ども)が
車に乗り込みます。
出発前、パパはこんなことを言いました。
「これから高速道路に乗るよ」
「高速道路にはトイレはあまりないから、出発前にトレイに行っておきなさい」
しかし、子ども達は案の定、
「大丈夫!トイレしたくない」
と言います。
そのセリフを信じて、車は「出発進行!」。
そして、高速道路に乗った瞬間、子どもがこう言います。
「パパ、トイレに行きたい!」
「なんで、さっき行かなかったの?」
そうパパが怒ったとしても、「時はすでに遅し!」
さっきはさっきなのです。
このように健常児であったとしても
「5分先の未来は、遠い遠い未来」で想像できないのです。
私達も20年後を想像してみて下さいと言われても
そんなにリアルに想像できないと思います。
そもそも20年後に一体どうなっているのか、
そんなことは誰にも分からないのです。
子どもからすれば、数分後のことも想像できないかもしれません。
でも、それは認知発達上、「正常」なことなのです。
したがって、怒ってもしょうがないのです。
それでは、時間を認識できるまで、
その年齢になるまで「時間を守れないまま」放っておくしかないのか。
そんなことはありません。
やれること、対策はたくさんあります。
具体例を挙げると下記になります。
・行動パターンをそのまま入れてしまう
・タイムタイマーなどで常に行動に対しての残り時間を視覚化する
・ルーチンの中に必要な行動を混ぜ込む
・時間割のような形で日常生活までも表で視覚化する
行動パターンというとTEACCH PROGRAM(ティーチ・プログラム)を
想像する方も多いかと思います。
そうです。
行動の構造化なのです。
TEACCH PROGRAM(ティーチ・プログラム)の「TEACCH」は
「Treatment and Education of Autistic
and related Communication-handicapped CHildren」
(自閉症及び、それに準ずるコミュニケーション課題を
抱える子ども向けのケアと教育)
の略のことです。
TEACCH PROGRAM(ティーチ・プログラム)を詳しく説明すると
非常に長くなるので省きますが、
簡単に「朝、起きてからの準備」に置き換えて考えると
1 起きる
2 トイレに行く
3 洗面所で顔を洗う
4 洗面所で歯を磨く
という行動パターンを一直線上に並べる感じで行動させるのです。
病院での「健康診断」をイメージしてみてください。
床や壁に「次は何科に行くのか」、さまざまな色の矢印などで
分かりやすく書いてありませんか。
まさにこれが「構造化」なのです。
時間がちゃんと認識できるようになるまでは、時間がかかります。
したがって、それまでは行動をワンパターン化してしまうのです。
しかし、ルーチンのようにしていくのであれば、
大きな注意が必要です。
それは、翌日が土曜日や日曜日、祝日であろうが、
何があっても、一度決めた行動パターンに落とし込む必要があります。
大人であってもこんなこと、あるはずです。
例えば、
夏までにダイエットをしようと思い、食事制限や運動など
一生懸命に頑張っていました。
しかし、ある日、風邪をひいてしまいました。
風邪をひいた結果、栄養がある物をたくさん食べないといけないと思い、
食事制限と解いてしまいました。
そして、熱があるので、運動はしばらく出来ませんでした。
その結果、習慣化しつつあった食事制限と運動というダイエットは、
元に戻ってしまったのです。
大人でもこのような状態なので、
やる日、やらない日が出てきたら、子どもはもっと困惑します。
時間の流れが把握できない子どもにとって
「明日は○○だから特別に…」という推測は、立てられないものなのです。
したがって、まずは曜日がどうであれ、決めたことを必ずやらせて、
行動を習慣化(肉化)していくのです。
さて、冒頭に挙げたやれることの具体例は下記になります。
・行動パターンをそのまま入れてしまう
・タイムタイマーなどで常に行動に対しての残り時間を視覚化する
・ルーチンの中に必要な行動を混ぜ込む
・時間割のような形で日常生活までも表で視覚化する
2つめに出てくる、「タイムタイマー」とは一体、何なのでしょうか。
それは、残り時間を視覚化することができるタイマーなのです。
60分でタイマーがなるように、まずは時間を合わせます。
そして、残り時間が赤くなり、
残り時間が少なくなればなるほど、赤い場所が少なくなるのです。
そのタイムタイマーを使って、作業などの時間を
視覚化するのです。
アマゾンなどにもさまざまな種類のものが売っているので
興味がある方は、そちらをご確認下さい。
さて、3つめに出てきた
「ルーチンの中に必要な行動を混ぜ込む」についてですが、
それはそこの状況や行動パターン、混ぜ込む行為によって異なります。
詳しくお聞きになりたい方は、お気軽にご連絡下さい。