メッセージ

「顔と名前を覚えない」

→顔と名前をなかなか覚えないのは、何の問題もありません。

 しかし、年齢を重ねても全く誰も覚えないのであれば、
 心配にはなるはずです。

 その場合は、視覚認知や記憶力などを確認し、
 不足している能力をトレーニングするのです。

 ※視覚認知は、視力とは異なります。
  実際に物が視界に入っていたとしても、
  「そこに物がある」と認識できないと、その人にとっては
  その物は「ない」のと同じになります。

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・一緒に遊んでいたお友だちの名前を子どもに聞いたけど、誰だか答えられなかった
・子どもが先生の顔も名前も覚えない

こういったことは、幼稚園や学校にかよう子ども達に多々あることです。

そもそも脳科学上、名前や顔は一番覚えにくいものなのです。

したがって、なかなか覚えられなく当然なのです。
脳の問題ですし。

しかし、そういった子どもでも
「メガネをかけている○○くん」
「雨の日に傘を忘れて、ズブ濡れだった○○くん」
「先生にめちゃくちゃ怒られていた○○くん」
といったようにその子に関わるエピソードがあれば、簡単に覚えられたりします。

こういったエピソードにまつわる記憶は、
エピソード記憶といいます。

そもそも、ASD(自閉スペクトラム症)や自閉傾向のお子さんであれば、
そもそも顔はのっぺら坊としか認識できていない可能性があります。

発達障がいがある子は、顔を顔として認識できないことがあります。
養育者である親(主に母親)のことは、
顔とかは分からないけど、「なんかいつも食事を与えてくれる人」
という認識の下で存在を感じているのです。

では、実際にASD(自閉スペクトラム症)や自閉傾向のお子さんは
人の顔をどう認識していくのでしょうか。

当然、個人差はあります。

まず、生まれて間もない頃は、「人」といく認識がありません。
「いない、いない、ばぁ」で視界がふさがれたとしても
認識としては、壁とか家具とか、木とかそういった事物しか認識していないそうです。

そして、その中でも
「常に自分のそばに誰か(何か)いる」
という認識が生まれてきます。

さらには、その自分のそばにいる誰か(何か)が
「自分に食べ物を運んでくれている」
という理解に進みます。

その上、その自分に食べ物を運んでくれている誰か(何か)が
自分の生殺与奪権を持っているのだと、漠然と考えます。

小学校に入る頃になると
人っぽい物体(ムーミンでいうニョロニョロのようなもの)
が視えてくるそうです。

その人っぽい物体(ムーミンでいうニョロニョロのようなもの)には
「顔」はありません。

そうです。
千と千尋の神隠しにもあった「顔なし」なのです。

ASD(自閉スペクトラム症)や自閉傾向の子どもは
人の識別を髪型やメガネでしていると聞いたことはあるでしょうか。

そのため、髪型が変わるとその人が誰だか
分からなくなるのです。

また、人っぽい物体(ムーミンでいうニョロニョロのようなもの)
には「顔」がないため、「表情」というものが認識できません。

そのため相手の「表情」を察して
適切な言葉かけをする、ということが苦手なのです。

さらに小学校高学年になってくると
ようやく「顔っぽい」何かが見えてきます。

それでも最初は、皆、同じ表情だそうです。

そして、中学校に入る頃にようやく一人ひとりの顔の違いや
表情の違いなどが認識できるようになるのです。

当然、上記の流れは私が出会った子の一人に聞いた話しです。

ちなみに何度も出てきている「認識」とは、一体どういうことなのでしょうか。

そもそも目という感覚器官ですが、目で「物」を見ている訳ではありません。
目はただのレンズです。

目というレンズを通して、「脳」で物事を見ているのです。

そして、その「脳」は今まで見てきた物を元に
今、見えているものを構成するのです。

したがって、「過去、こういった場面でこれが見えていたな」と脳が理解し、
同じような状況だった場合、脳がその過去の状況に似た状況を映し出すのです。

実際にそこにはいない人が見えたり、
現時的にそこにいる人が見えていなかったり
ということは、「脳」が過去の経験を元に現在の「目」が映し出しているものを
編集しているのです。

したがって、実際にその人がもしその場にいたとしても
「脳」がいると見せているため、見ている人にとっては「いる」のです。

先ほどから記載しているように
発達障がい、主に自閉スペクトラム症の子どもは
視力が良かったとしても脳が人間の存在を認識できていないのです。

そのため、顔や名前がなかなか入らないです。

それも時間が経過すれば改善できてきます。
ご安心ください。

ご不安な方は、人の顔や表情を早期に認識できるようになるための
トレーニングもあります。

名前も含めてのトレーニングも行えます。
ご希望の方はまず、ご連絡下さい。

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